優しい告別式

水曜日にすちゅの親父さんの告別式に向かうべく、早朝に発った。品川駅で友人と待ち合わせをして、香典を預かった。
前親父さんと４人で飯を食ったよな、と言われて、俺もそれを思い出し、懐かしくもあるが、切ない感じがした。

大阪に到着して、うだるような暑さに汗を拭いながら会場へ向かった。
正直赤の他人の俺が行って良いものかと式場を前にして戸惑っていたが、すちゅとすちゅの母さんは喜んでくれたようだった。
日蓮のお坊さんが来て葬儀が始まった。親父さんの友人がスピーチをしていた。非常に謙虚で信頼できる友人だったと述べていた。また、あのどうしようもないすちゅのことも馬鹿息子とはいっていたものの、とても可愛がっていたということも涙ながらに話していた。また、すちゅは残された母のことをぼくが守ると言ったそうだ。実は俺は少し信じられなかったのだけど、あの食う、だらける、寝るということしか殆ど頭になかった彼がようやく人間味のある事を述べたことに喜びを感じた。
お焼香をあげて親父さんの最後の別れをした。皆花を持って、棺に備えていた。
白鶴の酒も撒かれていた。親父さんの顔は非常に穏やかで、今でも起きるんじゃないかという位、死人の顔には見えなかった。親父さんの奥さんが何か話しかけていた。すちゅは泣き崩れていた。
火葬場まで一般の人たちも入れたので見送った。そこでもお経と、お焼香が行われた。そこで見送る人たちは、悲しいのはもちろんだけれども、今までありがとうといわんばかりの感謝の気持ちが伝わってきて、どこかしら前向きな印象だった。
自分の葬式はじいちゃんと母親のときにいったけれど、その印象は非常に淡白なものだった。実際葬儀は暗いものだけど、今回の葬儀は丁寧で、温かみのある感じがした。変な言い方だけど、良いお葬式という感じだった。本当に行った甲斐があったと思う。

人はいつか死ぬのだが、人の死により人生も変わってしまう。自分なりの教訓だった。それをすちゅにも言ったことがあるのだが、まさか本当にこんなことになるとは思ってもいなかったので驚いた。
そして彼は全くその通りだといっていた。今まで自分がいかに甘えていたかが、ようやくわかったといっていた。

また、自分の音楽に対する思いもようやくここで口にしてくれた。
今まであいつはあやふやな答えばかりで分からないことも沢山あったけれども、本当は人一倍思いが強く、納得するまでは続けたいと言っていた。俺はもう戻らんかもと思っていたので、それも驚いた。また、普段は互いに罵り合ったり、あいつは俺を友達でもなんでもないといっていたし、俺もあいつをねずみとしか扱ってなかったし、なぐったりひっかかれたりもした酷い仲でもあったが、出会ってから約８年目でようやく彼とまともに会話が出来、和解出来た感じがしてとても喜ばしく思った。
少しの間だけお母さんの事もあるので落ち着いてから東京に戻るそうです。
これからはいい方向に成長していくと思います。2008年は変化の年ですね。

＊この日は本当に特別な日だとおもったので、忘れないためにも出来る限り細かく書きました。