自殺

「誰も見た事のない場所」

職場の方が役者をされていて、公演が座・高円寺で行われるという事で先日観に行きました。
テーマは「自殺」。
しかも自殺願望者や自殺で亡くした当事者の家族や身内、目撃者などの情報を一人づつ聞いた事実を基にして描かれた完全なるノンフィクション。

自殺願望者や当事者の一族は、一体どんな考え方をしていたのか、何故死にたいのか、そしてなぜ自ら命を落としてしまったのか、正に“肉声、事実”を日本で初めて表現化した演劇でした。

かなり暗い内容だと聞いていたので、真剣な面持ちで構えていると、普段大人しい筈のその職場の方が、あっけらかんとした表情で「やーやーおまたせおまたせー！」と笑顔で登場され、そのギャップに戸惑ってしまった。
大変失礼ながらも、そこのシーンはあまり本人の表情を見る事ができなかったのだが、全体的にキレのあるかなり迫力ある演技で、長年この業界に携わられている貫禄が滲み出ており、素晴らしかったです。
鬱病、リストカット、炭練、首釣り、人身、服薬 これらの様々な自殺願望、関係者の供述、つまり、何故死にたいのか、何故死なねばならなかったのか。それらの言葉は事実と言う事だけあり、余りも生々しくかつ、忠実に表現されていた。
しかしながらこれらを多くの人達に知ってもらうには、自発的な人達だけではなく、教育、道徳や義務上での発信が大事だと思う。もっと身近に知ってもらう事により、沢山の人達に生と死、自分自身について考える時間を与えるに違いない。

日本は自殺が最も多い。自分自身も、自殺というよりか、自分の存在を消せるものなら消したいと何度も思う事がある。
それは、社会や世間に対する絶望感からある。

余り、国や他人のせいにはしたくないけれど、今の現状に不満を持っていたり、互いに無関心さを感じている人達が居る事だけは間違いないと思っている。
実際は、死にたいか、消えたいか、何もしなくともただ生きているか。自ら命を落とさなくとも、絶望感や虚無感というフィルターは最終的に考えると一つであって、結局は皆同じような原因を抱えているのである。
それに対して、「命を粗末にするな」とか、「がんばれば良い事がある」「明るく生きよう」等という何も考えていないような人達から出る言葉は余りにも残酷である。

現状は余裕がない。自分の事だけで精一杯で自分さえ良ければいい、自分だけ、楽しければいい。続き→

損特で考える。人間は一番ズルイ生き物という事実は否定出来ないし、人間は自分が一番可愛いと思っているんだから仕方がないし綺麗事を言う積もりはないのだけれど、自殺という、そのような事実が起こっているという原因に対して、向き合い、ディスカッションやボランティア団体等、「死への逃げ道」ではなく、「心の逃げ道」を作る事も現代社会で生きていく為には必要な突破口でもあるし、願望者以外にも、心にゆとりを持たせ人の話しを聞ける余裕がある事が一番大事ではないかと感じ、自分もどんなに忙しくとも出来る限りそれらを心がけようと思う。

劇団ワンツーワークス